ノルウェーの男女平等政策が崩壊の危機に直面しています。かつて「世界一進んだ男女平等国家」と称されたノルウェーでは、若者の半数がフェミニズムに背を向け、精神疾患の発症率が過去最悪を記録しています。この国家の実験は、社会そのものの自己崩壊を引き起こしていると専門家は警鐘を鳴らしています。
1978年に制定されたノルウェーの男女平等法は、教育、雇用、賃金のあらゆる場面で女性優遇を推進してきました。2003年には企業の取締役の40%を女性にするクオータ制度が導入され、政府は女性の進出を促すために数百億円もの資金を投じてきました。しかし、その結果は期待されたものとは程遠いものでした。例えば、石油プラットフォームにおける女性の労働率はわずか4%から6%にとどまり、建設現場の女性比率は2%に過ぎません。政府の予算が投入されても、女性の職業選択には変化が見られませんでした。
一方で、公的部門では職員の70%が女性に偏る一方、経済の生産部門と非生産部門のジェンダーギャップは逆に拡大しています。民間企業の取締役における女性比率は20%、経営者は17.5%にとどまり、国家主導の平等政策とは無関係な現実が浮かび上がっています。このような状況は、税収に依存する公的部門の支出が、実際には男性が中心の石油ガス産業からの納税者によって支えられていることを示しています。
さらに、精神的な健康問題も深刻化しています。2023年には、国内で200万件以上の家庭受診が精神症状に関するものであり、若者の意識も大きく変化しています。2024年の調査では、18歳から29歳の男性の47%が「フェミニズムはもうたくさんだ」と回答し、若年女性の中でも専業主婦志向が15%に上昇しています。このような変化は、1970年代の価値観の巻き戻しを示しています。
経済への影響も無視できません。8万5000人の高齢者がEUの貧困ライン以下で生活しており、国の通貨であるクローネは歴史的に低迷しています。国際通貨基金(IMF)は、2035年までに財政赤字比率が3倍に膨れ上がる可能性があると警告しています。理想の平等は美しいものですが、実際には国家が押し付ける手段としての平等が、社会を歪め、若者に不安と依存をもたらしているのです。
このノルウェーの実験が示すのは、国家が作る平等が本当に幸せをもたらすのかという問いです。日本もまた、同じ過ちを繰り返していないか、再考が求められています。国民にとって、真の平等とは何かを考える時が来ています。