4月30日夜、川崎市川崎区の住宅街にある一軒家。その家の地下収納スペースでボストンバッグに入った性別不明の遺体を神奈川県警の捜査員が発見した。司法解剖の結果などから、遺体は昨年12月20日から行方不明になっていた岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)であると判明。県警は5月3日、岡崎さんの元交際相手でこの家の住人の白井秀征容疑者(27)を死体遺棄容疑で逮捕した。 【画像】地下収納スペースのボストンバッグに入った状態で見つかった彩咲陽さん(20)
ほぼ毎日続いた白井容疑者のストーキング
岡崎さんの家族は「彩咲陽は容疑者からストーカー被害にあっていたのに警察が捜査してくれなかった」と口を揃え、怒りの矛先を白井容疑者とともに神奈川県警に向けている。 彩咲陽さんの父親はこう語る。 「彩咲陽の交際相手だった白井が、破局後にストーカーとなった。自宅を訪ねてくるようになり、彩咲陽は祖母宅に避難していました」 時に白井容疑者に見つかってしまうこともあった。 「繰り返し暴力や連れ去りがあり、彩咲陽は買ったばかりのスマホを容疑者に取り上げられた上、勝手に売却されたこともありました。白井のストーキングはほぼ毎日。いつ寝ているのかというくらい、夜中から朝方まで。だからずっと、家族みんなで彩咲陽を守っていました」 彩咲陽さん本人も昨年12月以降、行方不明になるまでの10日の間に警察に9回も電話をかけていた。しかし、昨年12月20日に事態は急変する。その頃、彩咲陽さんと同居していた祖母が振り返る。
白井容疑者から突然かかってきた電話
「朝起きると彩咲陽の姿が見えず、嫌な予感がして電話をしたが出ませんでした。少し経ってから、LINEで『買い物に出てる』と連絡が来たので『ちゃんとしなさいよ』と返信をして……それっきり。2日後の22日夕方、1階の荷物置きにしている部屋のカーテンが揺れているので近づくと、ガラスが割られて窓が半分開いていました。ガラスの横の壁には大きな手形のような汚れも付いていたので“誘拐だ”と思い、すぐに警察を呼びました」 川崎臨港署の警察官4人が祖母宅に臨場した。しかし、警察は写真を撮ったり、鑑識したりすることなく引き上げたという。 祖母が続ける。 「現場を見た警察官からは『(この状況なら)外から割るのはありえない』と彩咲陽の自作自演のように説明されました。その間にも私は、彩咲陽にLINEで『捜索願出すから』と送ったのですが、『大丈夫だからほっといて』と返信がありました。さらにその返信から1分後に白井から突然電話がかかってきて、『僕は17日からインフルエンザにかかって家で寝ています』と聞いてもいないことを話してきました」 家族は、彩咲陽さんのLINEの返信も白井容疑者の偽装工作ではないかと疑っている。父親は警察への憤りを隠さない。 「12月20日以降、白井が犯人だとなんとなくわかっていたので、ストーカーとして1回捕まえて調べて欲しいと警察に電話で伝えましたが、(彩咲陽さん)本人の訴えがないとできないと相手にされませんでした」 彩咲陽さんの亡骸は5日に遺族のもとに帰るという。