JERAセ・リーグ 巨人4―2広島(18日・東京ドーム)
相次ぐピンチを、山崎伊は粘り強くしのいだ。5回までに4度得点圏に走者を背負いながら無失点。6回は3連打で1点を失い、さらに右足がつって降板となったが、5回2/3を7安打1失点5奪三振で2勝目を挙げ、3度目の登板で本拠地初白星をつかんだ。3回先頭では中前安打を放ち、開幕から4打数3安打の打率7割5分と投打で躍動。初の本拠地のお立ち台では「(光景は)投げている時と一緒ですね」とおどけた。
工夫が実った。前回登板、10日のDeNA戦(新潟)では初回に3点を失って初黒星。立ち上がりを克服するため、15球前後だった試合前の投球練習を25球に増やした。初回先頭の大盛には安打を浴びたが、最速147キロを記録して無失点と結果につながった。原監督は「非常にいい投球ができるようになってきた。ホームプレートを広く使えるようになってきているし、ボールそのものの勢いも出てきている」と評価した。
1軍マウンドで勝利を重ねることは右腕にとって恩返しだ。20年6月に右肘じん帯再建術を受け、多くの人に支えられてきた。巨人への入団が決まり、入寮を控えた21年の正月、父・厚志さんからはこう言われた。
「この1年半、2年がその先の5年、10年につながる。今は長い人生の中で我慢するときやで」
リハビリ中の状態は一進一退。リハビリを担当した巨人・水留トレーナーには「本当に試合で投げられるようになるんですか?」と漏らしたこともあった。その度に「状態が落ちる瞬間は絶対にある。一番ダメなのは、そのまま一番下まで落ちること。最終的に上がっていけばいいんだ」と励まされ、乗り越えてきた。
来月で手術から2年。当然、現在の状態に満足はしていない。「(術後)2年を超えたあたりからしっくりくる、と言われている。もっといい球が投げられるようにやっていきたい」。少しずつ本来の姿に近づきながら、恩返しの旅は続いていく。(小島 和之)
1回2死三塁、マクブルームの打球を足を出して止めにいく山崎伊(カメラ・相川 和寛)映像提供:GIANTS TV
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