赤穂市民病院における衝撃の医療ミスが明らかになり、執刀医に対して約8900万円の賠償命令が下されました。この事件は、70代の女性が腰の痛みを改善するための手術を受けた結果、下半身に重度の障害を負うことになったというものです。
女性は6年前まで自分の足で自由に歩き、日常生活を楽しんでいました。しかし、手術から約9ヶ月後、彼女の生活は一変しました。施術中に使用された医療用ドリルが腰の神経を切断し、女性は日常生活を送ることも困難な状態に陥りました。母の楽しみを奪われ、外出もままならない状況に、家族は深い悲しみと怒りを抱えています。
手術を担当したのは、当時赤穂市民病院に勤務していた松井弘樹被告。彼は昨年、業務上過失致死の罪で在宅起訴されています。訴訟によると、松井被告は手術前に「施術をしなければ人工透析になる可能性がある」と説明し、以前の勤務先で200例の手術を行ったと自信を持って語っていました。しかし、今回の施術については未経験であり、手術中に適切な血管処理を行わず、見えない部位の骨を切除することで神経を損傷させました。
さらに、手術後には女性が不当に長い入院を強いられているかのような発言がなされ、看護師には面倒な患者の世話をさせることに対して申し訳ないと述べていたとのこと。医療現場での信じられない事態が浮き彫りになっています。
被害女性とその家族は松井被告と赤穂市に対し、約1億4000万円の賠償を求めていました。神戸地裁姫路支部は、松井被告の注意義務違反を厳しく指摘し、約8900万円の賠償を命じました。しかし、判決を受けた女性の家族は「判決が甘い」との思いを抱いています。
市民病院が公表した検証委員会の報告書によれば、松井被告はこの他にも少なくとも7件の医療ミスに関与し、2人が死亡しているとのこと。医療現場の信頼が揺らぐ中、今後の対応が注目されます。