米大リーグ ドジャース3―1ダイヤモンドバックス(21日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が21日(日本時間22日)、本拠地のDバックス戦前にブルペン入りし、23年9月の右肘手術後初めてブルペンでスライダーを投げた。早ければ24日(同25日)の敵地・メッツ戦前にライブBP(実戦形式の打撃練習)などで打者相手に投げる。前例のない二刀流の復帰プランはどうなるのか。MLB担当キャップの安藤宏太記者が占う。
2年ぶりに伝家の宝刀を投げ込んだ。試合開始3時間半ほど前の午後3時30分。大谷は練習用の青いユニホームでブルペンに向かうと、5球目から3球連続でスライダーを投じた。約8分間で21球を投げ、横に大きく曲がる「スイーパー」と呼ばれるスライダーは計4球。マウンドから投げるのは最後に登板した23年8月23日以来、637日ぶりだった。
データとフォームを確認しながらの投球。右肘の負担を考慮し、スライダーとカーブを投げたのは前日20日のキャッチボールがキャンプ以来約3か月ぶりだったが、一夜明けてブルペンでもテストした。
ロバーツ監督は「細かい感覚を確かめるように投げていた」とした上で、「土曜日(24日=同25日)にシティフィールド(メッツ本拠地)でどういった投球を見せるかに注目する。そこで前進するかもしれない」と次のステップを示唆。早ければ24日の敵地・メッツ戦前にライブBPなどで打者相手に投げる可能性が浮上。メジャーでは敵地でも同練習を行うことがあり、控え打者などが打席に立つケースが多い。
長期離脱明けの投手は通常、打者相手の投球から約2か月でメジャーに復帰する。大谷は前進はしている一方、前例のない調整のため、メジャー復帰が早まることも遅くなることも考えられる。通常はライブBPを経てマイナーで数試合に登板するが、打者出場を続ける大谷にその予定はない。首脳陣はポストシーズンがある秋にピークを持っていくことを想定。実戦形式の練習を繰り返してイニング消化にメドが立った状態で復帰するとみられるが、試合で投げながら少しずつ球数を増やす選択肢もある。
現実的なターゲットは7月15日の球宴前後で、消化すべき課題は術後最大50球しか投げていない体力面と実戦感覚。二刀流として、故障からの復帰方法も前例なき道を歩む。(安藤 宏太)