三重県にある伊勢神宮の式年遷宮に向けて長野県や岐阜県で切り出された最初のご神木を伊勢神宮の内宮に運び入れる行事が行われました。式年遷宮は、およそ1300年前から続く伊勢神宮の伝統行事で、20年に1度、社殿を造り替えてご神体を移します。9日と10日は長野県や岐阜県で切り出されたご神体を納める器の材料となるご神木を伊勢神宮に引き入れる「御樋代木奉曳式(みひしろぎほうえいしき)」が行われます。このうち、9日は伊勢神宮の内宮近くを流れる五十鈴川をさかのぼってご神木を内宮に引き入れる「川曳」と呼ばれる行事が行われました。川曳では、3本のヒノキの大木が1本ずつそりに載せられ、黒いはっぴにかさをかぶったおよそ300人の参加者たちが時折り木遣り唄を歌いながら「えんや」というかけ声とともに綱を引き、およそ1.5キロにわたってご神木を運びました。このあと、ご神木は内宮に引き入れられ、おはらいをしたあとに敷地内に安置されました。広島県から来た参拝者は、「木曽の国有林から切り出された大木ということもあり、立派でした。1300年ずっと続いていて、すごいです」と話していました。10日はご神木を外宮に引き入れる「陸曳」と呼ばれる行事が行われます。【 9日午前 鈴鹿に到着】伊勢神宮の式年遷宮でご神体を収める器に使うヒノキの大木が9日午前、鈴鹿市の神社に到着し、地元の人が大木とともに中心部を練り歩いたあと、伊勢神宮へと送り出されました。伊勢神宮の式年遷宮は社殿などを造り替える20年に1度の行事で、ご神体を納める器として使うヒノキの大木「御樋代木(みひしろぎ)」が長野県と岐阜県で切り出されたあと、各地を巡り、8日、三重県内に入りました。鈴鹿市の神戸宗社には9日午前10時ごろ、御樋代木が到着しました。
地元の人たちが伊勢神宮までの無事を祈る神事を行ったあと、よさこいや、太鼓の演奏などを披露して歓迎しました。雨が降る中、集まった人たちおよそ500人が、「エンヤー」と声を合わせて、ご神木を乗せたトラックを綱で引き、8台の山車とともに鈴鹿市の中心部を練り歩きました。そして、御樋代木が鈴鹿市役所に到着すると、集まった人たちは万歳をして喜んでいました。綱を引いた地元の70代の女性は「ありがたかったです。神聖な気持ちになりました」と話していました。御樋代木は大勢の人が見守る中、送り出され、再び伊勢神宮へと出発しました。【8日夜 桑名に到着】伊勢神宮の「式年遷宮」で、ご神体を納める器として使うヒノキの大木が長野県と岐阜県から運ばれ、8日夜、三重県桑名市でご神木を迎える行事が行われました。伊勢神宮の「式年遷宮」は社殿などを造り替える20年に1度の行事です。ご神体を納める器として使うヒノキの大木「御樋代木(みひしろぎ)」は、長野県と岐阜県で切り出され、三重県に運ばれました。「御樋代木」を載せたトラックは8日、桑名市の住吉神社近くに到着し、式典のあと、およそ1300人が木遣り歌やかけ声を響かせながらトラックを綱で引きました。このあと一行が向かった桑名宗社では、ユネスコの無形文化遺産に登録された「石取祭」の祭車が、かねや太鼓を鳴らしてご神木の到着を祝いました。行事に参加した30代の女性は「皆さんとかけ声を合わせて思い出深い一日になりました。ご神木が無事に伊勢神宮に着いてほしいです」と話していました。「御樋代木」は伊勢神宮の内宮に9日午後、外宮には10日到着する予定だということです。